■様々なバリア
■耳に入らないと意味が無い
■学校の保健の先生とは何か
薬物の依存症は、英語では「substance abuse」と言って、このsubstance には、言葉的にはお酒も含まれます。
今日働いてた看護助手(CNA) の1人に「あ、なんか久しぶり。」と言ったら、その後、私の部屋に来て、「引っ越そうと思う。このままでは子供(男子高校生)が駄目になるから他の学校に行く。学校は何も助けてくれない。」と言います。
他の学校と言うのは、他の学区域です。他の学区域=他のカウンティ、です。
■様々なバリア (学校、家庭、そして医療施設側)
学校とのやり取りは、何に関してもとても難しくて、ご多分に漏れず、このお母さんと子供ももがいているようでした。
子供の問題は様々で、発達障害やメンタルの問題、薬物やお酒、アレルギーや糖尿病の管理に至るまで、本当に学校とのやり取りは根気が要ります。
そして、片親だけの方が動きやすい場合もあって、お母さんがこう思っても、お父さんがネックで物事が進まない、とか、家庭内に問題があるケースもあります。
このCNAも、なかなか腰を上げないお父さんにしびれを切らして、離婚とかじゃなくて、とりあえず、自分1人で子供と行く、と決断したようです。
この家庭は、「お母さん」 vs 「お父さん+親戚一同」、という感じで、お母さん側は身軽でも、お父さん側に親戚一同がついててお父さんは親戚からやんややんや意見されて、動けない、というか、そんなイメージです。
そしてそして、医療施設もネック。
看護学生の頃、そして看護師になってから、実習や研修で、サイキフロア(psychiatric floor/精神科病棟)に何度か行きましたが、子供のケースは本当に難しい。
近くに子供の専門の場所が無いのです。
親としては一緒にいるか、せめて子供の近くにいたいじゃないですか。医療施設側の都合で、平気でさらっと4,5時間離れた場所に送られたりしたら、親はパニックになるでしょう。
その地域に、もしお医者さんがたった1人だったら、そのお医者さんは、赤ちゃんからお年寄りまで診るじゃないですか。でも、なまじ医療の体制があると、すぐに専門に回されて、特にメンタルヘルスや小児外科などは、いくら遠くても、子供の専門に回されます。中味的には専門の方がしっかり診てもらえていいと思うのですが、やっぱり車で4時間もの距離だと家族の苦労は相当です。
通常は、医師や看護師達は、ソーシャルワーカーや、ケースマネージャーに託しますが、SWやCMに力量がないと、ケースは有耶無耶にされて、結局何も進展がないまま、状態が悪化することもあります。
■耳に入らないと意味がない
医療施設との間に挟まるように、レジデンシャルケア、というのがあります。
その施設に1か月位、寝泊りして、セラピーを受けます。ティーンエージャーのは、大体、同じような年齢の子が集まって、医師や、看護師、セラピストやカウンセラーの監視下で、規則正しい生活を送って、社会復帰する、みたいな、そのような場所です。
食事の支度や後片付けなども自分達で分担してやらされて、そうすると、とても些細なことで喧嘩になったりして、そういう「しょーもない事」を繰り返しながら、セラピーや運動なんかもして「治療」というか…どちらかと言うと「成長」していく感じです。
そのCNAの人に、そういう施設もあるよ、お母さんが1人でもがくより… と言いましたが、見た感じ、私の言ったことは耳に入ってない感じがしました。
たとえ耳に入ったとしても、心に届かなければ、何の意味もなくて… 残念だと思いましたが、私がその子を知っているわけでもなく、もがいて探して行く以外ないのかもしれません。
学校を変わったとしても、それは表面だけのことで、本人の内面はあまり変わってないわけで、この夏の間に、レジデンシャルケアに入れてあげられたら良かったのに、と思います。
■学校の保健の先生とは何か
学校には、保健の先生的な人が存在します。日本では、保健の先生ですが、アメリカでは「スクールナース」です。
このCNAが言っていたように、学校は、助けてはくれません。本当に学校に助けを求めるのは大変。無理。
そして、私も以前思いましたが、スクールナースが一体何のために存在するのか意味わからない、というくらい、スクールナースは、登場しません。
ミーティングに来るわけでもなく、子供の体調が悪い場合に保健室で「かくまって」くれるわけでもなく、その存在意味が本当にわからない。
学校が始まる時、スクールナースから、アレルギーの対応についてうるさい程に、書類提出の催促やエピペン(エピネフリンの携帯用注射)の提出などで電話が来ますが、それは何もナースじゃなくても、外注でも済む内容だと思うのです。
糖尿病のために、インシュリンを注射したり、薬をもらったりしないといけない生徒もいるのですが、薬は、ナースじゃなくてもあげられると認識しています。現に、以前、訪問看護のエージェンシーから「7歳の女の子の遠足の場所に赴いてインスリン注射を打ってください」というオーダーを受けました。結果的に血糖値が低かったために注射はせずに済みましたが、その際「いつも注射を打ってくれてる人(学校の人)が今日はお休みで」と言われました。
私はスクールナースになりたいわけじゃないのですが、それが知りたいためだけに、今、コースを取っています。このコースの中に、「スクールナーシング」という科目があるからです。そこを通らないことには気が収まらないような気持ちです。
スクールナースがしてくれたことは、事務的な(何故か)耳の検査と目の検査だけでした。そんなことは、地域の小児科で既にやっていることで、記録を取り寄せればいいだけのこと…とは思っても、きっと提出書類に最新の、とか、いろんな決まり事があったんだろうと思います。
その他にも、以前、電話で呼ばれて私が学校に着くまでの間、1時間くらい、うちの娘があんなに苦しい思いをしてても、娘を保健室にも置いてはくれてなくて、ほとんど「それって人間的にどうなの?」と思ったくらいです。保健室に行ったけど、追い出されて、行ける所が無かった、と後で娘から聞いて、涙が出そうになりました。
この件に関しては、校長の圧力だったので、後日、言及しました。スクールナースの方は個人的にはとても良い方でしたし…。
うちのCNAの人みたいな、もがいてるお母さんが他にもいるんじゃないか、と思いますが、だからと言って自分が何かしてあげられるわけでもなく、無力極まりないです。