「Grit」という言葉があります。
「レジリエンス」は時々耳にすることはありますが、「グリット (grit)」 はそんなに聞かないのではないかと思います。
しかし、メンタルヘルスの領域では、グリットという言葉はレジリエンスと同じくらいの頻度で使われます。
2つの言葉は、似ているようですが、実際は違います。両者とも、「困難を乗り越える力」という意味を含みます。が、グリットには、それに加え、先にあるゴールに向かって、大変な状況を乗り越えていける情熱(パッション)がある、という意味も含まれます。この「パッション」がグリットを表すキーワードでもあります。
例として、一冊の本を紹介したいと思います。
学校の課題図書にも選ばれる、「Frederick Douglass (フレデリック・ダグラス)」という本があります。私が持っているのは、学校で教科書として使用された76頁のペーパーバック版の薄い本です。フレデリック・ダグラスは黒人の歴史上人物で、自ら人生を切り開いて行ったことで知られています。
子供の時は、白人の子供達と同じようには教育を受けられず、教室にも勿論入れては貰えませんでしたが、彼には勉強にたいする情熱があり、土の上で一生懸命字を勉強しました。
Frederick Douglass possessed grit and perseverance (忍耐力).
His success had more to do with grit.
下は、グリットについて書かれた文献からの抜粋です。
レジリエンスもグリットも、どちらも忍耐力を要する。しかしながら、「レジリエンス」が身心の健康を保つ意味が大きいのに対し、「グリット」には、そこに学業や将来的な成功という要素が加わる(Stoffel & Cain, 2018)。
メンタルヘルスを考える時、この2つの要素を持ち合わせることが出来たなら、メンタルはもっと強くしなやかに保てることができる、ということです。
参考文献
Stoffel, J. M., & Cain, J. (2018). Review of grit and resilience literature within health professions education. American journal of pharmaceutical education, 82(2), 6150. https://doi.org/10.5688/ajpe6150