■レジデンシャルケアから学校に戻る #190

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■中高生のドラッグ・アルコール中毒/乱用/依存症

■レジデンシャルケア

■治療のテーマと3つのサブテーマ

■トランジション

■スクールナースが出来ること

■中高生のドラッグ・アルコール中毒/乱用/依存症

中高生がDrug/alcohol abuse (ドラッグ・アルコール乱用/中毒)の状態に陥った場合、リハビリ施設等でしっかり治療を受けることが大切です。

最近、某ジャーナル記事の内容に基づいて、患者のレジデンシャルケアでの治療についてのディスカッションの機会がありました。もっと正しく言えば、治療内容そのものではなくて、レジデンシャルケアから学校へのトランジションについてスクールナースが出来る事、という内容です。記事は2012年のもので少し古いですが、基本的なコンセプトは変わらないと思います。

ドラッグ/アルコール中毒の治療に関しては、大人と子供(中高生)では、普段の生活で置かれている状況が全く違います。それにも関わらず、大人と同じような治療内容で取り扱われることが多く、その場合はあまり効果的な治療でなくなります。中高生には中高生の生活環境、置かれている状況に合った内容でなければいけません。

大人と違うところは、次のようなところです。

Peer Pressureがある。友達や周りの目が気になる。

人生経験が乏しい。

親からの自立がまだなので、親の状況次第で自分のメンタルも直接的に変わる。

学校という逃げられない場所に行く必要がある。

脳機能が発達途上にある ー 物事の判断力に乏しい。

■レジデンシャルケア

アメリカには各地に、精神疾患を集中的に治療するレジデンシャルケアという施設があります。

病院に入院しての治療は、短期(Acute)であくまでも「stabilizing」を目的としたものです。生死に関わる状態でなくすること、です。

Stalibilizingの状態に達することが出来れば、退院となります。しかしながら、精神疾患は長丁場。短期で治るものではありません。

入院中に、ケースマネージャーが退院後の治療に関して、ケアのアレンジメントをします。退院後の行先は、自宅だったり(セラピーを受ける)、グループホームだったり、レジデンシャルケアだったりします。

レジデンシャルケアでの滞在期間は、1カ月~6カ月、とその人によって様々です。大体は保険無では支払い不可能なくらいの金額なので、医師やセラピストからのリファーラルで、保険会社の認可を得てケアを始めるのが一般的です。保険が無かったら、大人の場合でも、一か月$4,000~$5,000、またはもっと高いでしょう。小児は大人より高いのです。

施設内には、医師や看護師、セラピストやケースマネージャー、アクティビティスタッフ等が常駐、または準常駐しています。

施設では、起床から就寝まで、間日規則正しく生活が出来るようスケジュール管理されています。施設によっては、自分達で食事の支度をグループ活動的に行ったりする所もあります。それ以外にも、動物や植物の世話、農作業など、毎日の施設での生活の中に自分に与えられた仕事があります。(これは、記事の内容ではなく私の実習からのオブザベーションです)

こんな感じで何か月かを過ごして、治療をします。

治療というより、セラピー、セラピーというよりも、卒業までの間に、施設という守られた場所を出てから自分の力で戦って行くためのツールを手に入れる作業と、そのツールを使いこなすすべを習う作業、という感じでしょうか。

■治療のテーマと3つのサブテーマ

治療のメインテーマかつゴールは、「Belief in Self」自分を信じる、ということです。

そして、3つのサブテーマは、次の通りです。

  • Peer support
  • Self-control
  • Treatment knowledge

一般的に、ケアのゴールを見極めるには、何らかの数値で表されることが必要です。

でも、「自分を信じる」事を、どのように数値化してゴールに到達できたかどうかを見極めるのでしょうか。

その問いに対する答えは、この記事の中に書かれていました。

それは、期間中、どれだけ成功体験を積むことが出来るか、でした。

前述の通り、ほとんどの患者さんは、入所時、何のツールも持ち合わせていません。何か問題が起こった時に、きちんと考えて良い決断をする能力もありません。期間中は、様々なセラピーやグループ活動を通してツールを集めて行きます。

■トランジション

レジデンシャルケアを退院して、以前通っていた学校に戻る際、学校側は多少なりとも困惑します。どのように接すれば良いのか、問題を起こすのではないか、とかの不安があるし、それに伴い、その生徒や親に対して、ネガティブな対応をしてしまうかもしれません。差別的な発言があるかもしれません。

記事中によると、学校に戻る生徒は、自分が安全だと思える場所が学校に無いんじゃなか、という不安を抱いている、という報告があったようです。ここで言う「安全な場所」と言うのは、必ずしもフィジカルな場所だけではなく、精神的に安心できる場所、安心して話が出来る理解者がいるかどうか、という意味です。

学校側、特にスクールナースはそれを理解し、また、ケアのトランジションがスムーズに行われるよう気を配る必要があります。

■スクールナースが出来ること

スクールナースは「学校の保健の先生」です。スクールナースは、正看護師でありながら、Education departmentからの資格も保持します。このような、レジデンシャルケアから学校に戻る生徒がいた場合、学校内でのスクールナースの役割はとても重要です。

退院後のケアに関しては、スクールナースは、生徒のレジデンシャルケアでの治療の早い段階から(最初からでも良い)ケースマネージャーと連絡をとりつつ準備を進めておく必要があります。患者さんによっては、医師が勧める期間よりも短い期間で、自分の意思でケアを切り上げて出てきてしまう人もいるので、どの段階でレジデンシャルケアを出てきても対応できるように早め早めの準備が求められます。

統計によると、約10%が治療を途中で中断して退所してしまう、とありました。これはUKでのレポートですが、USではその率がもっと高く、19%から49%とあります(Nordheim et al, 2018)。

レジデンシャルケアで、その生徒は滞在中どのようなケアをどのようなゴール設定で受けていたのかを知る必要があります。また、学校の勉強内容に沿ってレジデンシャルケアの中でも勉強するので、どの科目がどの辺まで進んているとかそういった内容も把握しなければいけません。

また、ケアのゴールは、その施設でのゴール達成以後も続けられていかなければいけません。また、それが出来るだけシームレスに行われるよう取り計らわなければいけません。

Reference

Nordheim, K., Walderhaug, E., Alstadius, S., Kern-Godal, A., Arnevik, E., & Duckert, F. (2018). Young adults’ reasons for dropout from residential substance use disorder treatment. Qualitative social work : QSW : research and practice17(1), 24–40. https://doi.org/10.1177/1473325016654559. Retrieved from: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5726603/

Wood, R. J., Drolet, J. C., Fetro, J. V., Synovitz, L. B., & Wood, A. R. (2012). Residential adolescent substance abuse treatment: recommendations for collaboration between school health and substance abuse treatment personnel. Journal of School Health, 72(9), p. 363-367.

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